2023年4月の歌「朧月夜」

お知らせ

ハッピーシャワータイムの4月の歌は、「朧月夜」です。

「朧月夜」
作詞 高野辰之
作曲 岡野貞一

高野辰之と岡野貞一、と言えば日本を代表する名コンビです。

故郷、春の小川、春が来た、もみじなどたくさんの曲がありますが、高野辰之氏は長野県出身、豊かな自然に育まれた感性が歌詞の中にたくさん入っているように感じます。
大正三年の曲です!

「朧月夜」

1. 菜の花畠に 入日薄れ
見わたす山の端 霞ふかし
春風そよふく 空を見れば
夕月かかりて におい淡し

菜の花畑に沈みゆく太陽の光がだんだん薄く消えてゆく。
山と空との境をずーっと見渡していくと、霧がかかったようにぼんやりと見える。

春らしいあたたかな風を感じて、空を見上げると、そこには夕方の月がかかって淡く色づいている。

想像を掻き立てる言葉が随所に出てきます。
「入日薄れ」夕日の光が時間の経過とともにだんだん薄くなって行く様子が美しい言葉で表されていますね!

「山の端」山の稜線のことですが、空と山の境目の部分が頭に浮かんできます。

「におい淡し」これは昔この歌を口ずさんでいた頃は意味を勘違いしていました。
菜の花の香りを想像していました。
「におい」は古語で「色合い・色つや」と、ゆう意味で使われます。
古典文学などを勉強した方ならすぐにお分かりになるのでしょう。

昔の言葉の使い方を感じるとすごく素敵ですよね!
意味が分かると想像力は果てしなく広がります。

2. 里わの火影も 森の色も
田中の小路を たどる人も
蛙のなくねも かねの音も
さながら霞める 朧月夜

山里の家の灯りも 森の緑も田んぼの中のあぜ道を歩く人も 蛙の鳴く声も
お寺の鐘の音も
すべてが霞がかってゆく ぼんやりと見える月よ

山里の家々の灯りも 森の木々の緑も
田んぼの中のあぜ道を歩く人の姿も
蛙の鳴く声も お寺の鐘の音も
すべてが霞がかってゆく ぼんやりと見える月

「朧月夜」とは春の夜に、月がほのかに霞んでいる情景を指す季語。
夕日は三日月のことを表すとも言われますが。
私の頭の中ではやっぱり朧月夜は満月を想像してしまいます。

この曲は、春の中に佇む作詞者の時間の経過をゆったりと感じます。
そしてその経過の中に全てが溶け込んで行く。人間も自然の一部であるかのような気持ちにさえなります。

皆さんはいかがですか?

日本には自然万物のあらゆるものの中に「神」を見い出している、独特の自然感や宗教感があります。

八百万の神様が護って下さっている。
すごいことですよね!

すべての自然万物の中で生かされている。

この曲はそんな日本人の独特の自然観だったり、日常の美しい風景の中に脈々と受け継がれてきた感性が沸々と湧いてくるような気がしてなりません。

「童謡・唱歌は日本人の感性を自然に思い出させてくれる」

トップへ戻る
タイトルとURLをコピーしました