ハッピーシャワータイムの2024年6月の歌は「夏は来ぬ」です。
「夏は来ぬ」
佐佐木信綱 作詞
小山作之助 作曲
5月の歌のところに「夏は来ぬ」の1番2番を載せてあります。
5番まであるので、6月は3番から5番の理解を深めましょう。
合わせて読んで頂ければ嬉しいです。
3. 橘の かおるのきばの
窓近く 蛍とびかい
おこたり諌むる 夏は来ぬ
橘はミカン科の木です。
ミカンの花の香りが漂う軒端。
その香りが漂う軒端に蛍が飛び交っている。
あー!勉学も忘れずに励む夏が来た。
今では軒端もあまり見かけなくなりましたが、屋根が建物の壁面より外に出ている部分のことです。
そこにミカンの香りが漂い、しかも蛍まで飛び交う。
なんて素敵な光景なんでしょう。
でも、この時代は蛍の光を集めて夏は勉学に励んだそうですね。
「蛍の光」の歌詞の中に出てきます。
夏は蛍の光を集め、冬は窓の雪の明るさで勉学に励んだと。
その時代の苦労がうかがえます。
4. 楝ちる 川辺の宿の
門遠く 水鶏声して
夕月すずしき 夏は来ぬ
「楝ちる」楝は夏に花をつける落葉樹。
川辺に佇む家の遠くから水鶏の声がしてきた。(水鶏はヒクイナと言う夏にやって来る夏鳥。その鳴き声は戸を叩くような鳴き声だそうです。)
その声がきっと夕暮れの月に心地よく涼しさを与えているのでしょう。
あー!そんな夏が来たんですね。
5. 五月やみ 蛍とびかい
水鶏なき 卯の花さきて
早苗うえわたす 夏は来ぬ
5番はすごいですね!1番から4番までの季語が並んでいます。
五月やみは梅雨時の暗い夜の闇のこと。
五月やみ、蛍がとびかい、ヒクイナの声がして、卯の花が咲いて、早苗が植え渡されそうすると、
あー!夏が来たんですね。
言葉は難しいですが、美しい日本語です。
一つ一つ理解していくと、そこには明治の頃の夏に向かっていく様子がたくさん感じられます。
夏に向かっていく景色の中に
花の香りだったり、鳥の声だったり、精神だったり、五感に深く刺激が入るのを感じます。
歌詞を覚えてみると、その先の風景や匂い体感までが伝わって来るように思ってしまいます。
皆さんも明治の頃の夏に向かう感覚にタイムスリップしてみてはいかがでしょう。